その昔、銀の木という名の王妃と金の木と言う名の娘を持つ王がいた
王妃が城を散歩していると池に言葉を話す鱒がいるのを見つけた
銀の木はこう問いかけた「鱒よ鱒よ、この国で一番美しいのは私かしら?」
すると鱒はこう答えた「いいえ、一番はあなたではありません。一番美しいのはあなたの娘金の木です」
銀の木は怒り、傍にあった石で鱒を強く打ち付け殺してしまった
部屋に帰っても銀の木の怒りは収まらず、ベッドに寝込みとても重い病にかかったふりをし、こう宣言した
「金の木の心臓と肝臓を食べないとこの病は治らない」
娘も王妃も喪うわけにはいかなかった王は一計を案じ、かねてより金の木に求婚していた北の国の王子に娘を嫁がせ
王妃にはヤギの心臓と肝臓を食べさせたところ彼女はすぐに元気になった
1年が過ぎ銀の木がまた城を散歩していると池に言葉を話す鱒がいるのを見つけた
銀の木はこう問いかけた「鱒よ鱒よ、この国で一番美しいのは私かしら?」
すると鱒はこう答えた「はい、この国で一番美しいのはあなたです。しかしながら北の国のお妃金の木様はその100倍は美しい」
銀の木は怒り、傍にあった石で鱒を強く打ち付け殺してしまった
死んだはずの娘が生きていたことを知った銀の木は王に鱒に聞いたことを話し、すぐに金の木に会いに行くといい船を用意してもらった
銀の木自ら舵をとった船はあっという間に北の国に到着した
母国の船がついたのを見た金の木は「母が私を殺しに来た!」と大層怯えた
使用人たちは落ち着かせ鍵のかかった部屋に匿うことにした
銀の木は「あなたに会いに来たわ!顔を見せて頂戴!」と部屋の前で大声で叫んだ
金の木は「鍵がかかっているから出られないわ」と答えた
すると銀の木はこう言った「小指にキスさえできれば帰るから鍵穴から小指を出して頂戴」
それくらいなら、と金の木が鍵穴から小指を出すと銀の木はその指に魔法の毒針を一刺しした
たちまち金の木は死んだようになってしまった
北の国の王子が狩りから帰ってきて金の木が死んでいることを知った
美しいままの金の木を葬るのは忍びなく王子は誰も立ち入らないようにカギをかけた部屋に金の木を安置した
時が過ぎ王子は再婚した。2番目の妻は開かずの部屋の存在が気になっていたが立ち入ることを禁じられていた
ある日王子が机の上にカギを置き忘れていたのを見た2番目の妻は好奇心に負け、金の木が眠る部屋に入った
2番目の妻は金の木の指に針がついているのを見つけ、それを引き抜いたところ金の木は生き返った
狩りから帰った王子に見せたいものがあると2番目の妻はいい、元気になった金の木を引き合わせた
王子と金の木は抱き合ってキスした
それを見た2番目の妻は「彼女はあなたの最初の妻よ。あなたが彼女を選ぶのは間違ってないわ。私は身を引きます」と言ったが
王子と金の木はそれを引き留めた
またしばらく時が過ぎ銀の木がまた城を散歩していると池に言葉を話す鱒がいるのを見つけた
銀の木はこう問いかけた「鱒よ鱒よ、この国で一番美しいのは私かしら?」
すると鱒はこう答えた「はい、この国で一番美しいのはあなたです。しかしながら死から蘇った北の国のお妃金の木様はその1000倍は美しい」
銀の木は怒り、傍にあった石で鱒を強く打ち付け殺してしまった
またもや船を用意させ自ら舵をとり北の国に向かった銀の木
母国の船がついたのを見た金の木は「今度こそ本当に殺される」と大層怯えた
しかし2番目の妻は「心配しないで。彼女に会いに行きましょう」と言って落ち着かせた
上陸した銀の木は「愛しい金の木や、あなたのために美味しい飲み物を持ってきたの。一緒に飲みましょう」と言った
2番目の妻は「飲み物は持ってきた人が最初に飲んでくださいませ。それがこの国の習慣ですわ」と言う
渋々銀の木は器に飲み物を注ぎ、口につけ飲んだフリをしようした…
そこに2番目の妻がよろけたフリをしぶつかると銀の木は毒入りの飲み物を飲み干し死んでしまった
こうして王子、金の木、2番目の妻はその後幸せに暮らしました
最新の20件を表示しています。 コメントページを参照